
昨日のブログでお伝えしておりました通り、
順調な滑り出しを見せたApple Pay。
早くも、その勢いに水を差すような事がおきました。
アメリカの大手小売り各社が、
次々とApple Payの取扱を中止する動きを見せ始めたのです。
最初に動いたのは、大手ドラッグストアチェーンのライト・エイドとCVS ファーマシー。
他にも、世界最大の小売りチェーンのウォルマートや
同じくアメリカ第2位のターゲットでも、その方向に動きつつあるとか。
いきなりの手のひら返し、どうした事でしょう。
それには、理由があります。
いずれも、Merchant Customer Exchange(MCX)のメンバーなんです。
聞き慣れないだと思いますが、
こいつは、アメリカの小売り業者団体が立ち上げたベンチャー企業。
来年2015年に、新たな決済システムCurrent Cをスタートさせる予定があるんです。
つまり、Apple Payとは、ガチでぶつかり合う相手になります。
どうして、大人の事情なのかと言うと、このCurren Cは、
小売り業者にとって悩みの1つ、
クレジットカード会社に支払う手数料をなくそうとする仕組みだからです。
決済は、顧客の銀行口座から直接行われるため、手数料が発生しないのです。
しかし、Apple Payの決済は、クレジットカード会社からの決済がメインです。
できる限り経費は抑えたいというのは、商売の鉄則ですから、
売り上げの数%といえど、手数料を払わないで済ませたい気持ちは理解出来ます。
そして、もう1つ。
小売り業者がのどから手が出る程欲しい顧客のデータが、
Apple Payでは、入手できないのです。
顧客が、どんな買い物をして、いくら払っているのか。
いわゆるビッグデータが得られることで、自社の販売に生かす事ができるのです。
Apple Payの仕組み上、決済の際のデータのやりとりに、顧客データを用いない事で、
安心な決済が実現できています。それでは、小売り業者の方々は困るのです。
ここまでの話では、ちょっと大人の事情に同情しちゃう方もいるかもしれません、。
しかし、そうではないのです。
Apple Payの場合、決済の手続は、顧客が端末にiPhoneをかざし、
TouchIDに指紋をかざすだけで終わります。簡単ですね。
ですが、Current Cの場合、この手順がとても面倒くさいんです。
まず、あらかじめ専用のアプリを用意して、銀行口座と繋いでおきます。
そして、決済時には、電話を止めて、アプリを開き、
レジのスクリーンに表示されたQRコードを読ませてという手順の多さ。
いくら何でも、これでは利用する気にはならないですよね。
全く顧客目線で考えられていないシステムです。
それに、今時QRコードとは。とほほ。
おまけに、Current Cの契約には、
他の決済方法を採用できないようにする条項があるとも言われます。
それ故、Apple Payを導入しようにも出来ない事情もあるようなんですねぇ。
まさに、いろんな思いが絡みあった大人の事情が、ここにはあるのです。
まだ、この後の行方はまだ判りません。
Apple Payが顧客に圧倒的に支持されれば、
小売り業者の方々の気持ちも変わるかも知れません。
それもまた、大人の事情ですから。
さて、どうなることやら。
では、また。