
昨日のブログでも少し触れましたが、
サファイアガラスの生産をめぐっての、
AppleとGT Advancedとのやりとりは、興味深いものです。
当初、GT Advancedは、サファイアガラスの自社製造を目論むAppleに、
製造用の溶鉱炉を販売するのを目的にしていました。
ここで最初のミスが起きます。
Appleが、サファイアガラスの自社製造から、完成品の購入へと方針を変え、
GT Advancedにサファイアガラスの製造を依頼してきたのです。
この時点で、GT Advancedが深入りしていなかったら、
会社を倒産に追い込む事は無かったかもしれません。
しかし、彼らは、その要求をのみ、
GT Advancedは、サファイアガラスの製造を行う事になりました。
これが第2のミスです。
皆さんご存じのように、Appleは1つ1つのパーツに対しても、
高い品質である事はもちろん、コストにも厳しい要求を求めてきます。
それ故、自社の実力以上の事を請け負う場合、高いリスクを伴います。
GT Advancedは、ここでしくじってしまいました。
まず、ディスプレイ用に加工する前段階として、
大きなサファイアの結晶を製造するのですが、
Appleとの契約を満たすレベルのものを、なかなか作れません。
不幸は続きます。何とか用意できたサファイアの結晶を、
現場のミスで破棄してしまうのです。
結局、最終的にAppleに納品できた数は、契約数の10%程度という事態に。
この燦々たる結果に、Appleもサファイアガラスの採用を諦める事となりました。
その後の成り行きは、お分かりの通りです。
GT Advancedは破産に追い込まれてしまうのです。
Appleのとの契約を成し遂げ、自社の発展をと目論んだ夢は、
あえなく終わってしまいました。
今回の件、Appleが力に任せて、
GT Advancedに無理を強いたのではと言われていますが、
GT Advanced側にも、目論見の甘さがあったと言えるでしょう。
自社の製造能力を見誤らずに、Appleと交渉を続けていたなら、
違う結果もあったかもしれません。
では、また。