
LINE乗っ取りが問題になっている昨今、
iPhoneを司るiOSにバックドアが組み込まれていたのではと話題になっています。
知らない方に簡単に説明しておきますと、
バックドアとは、直訳すると「裏口」という意味があり、IT関係の場合、
ユーザーが知らない方法で、勝手に個人のデータにアクセスできてしまう事を意味します。
事の発端は、ニューヨークで行われたハッカー向けのイベント、HOPE/X。
その講演にて会場で、Jonathan Zdziarski氏が発表した研究結果がきっかけです。
iOSには、故意にユーザーの機密情報にアクセスできるバックドアが有り、
アメリカのNSAがそのバックドアを用いて、情報収集を行っている可能性があると。
※こちらは、HOPE/X上の、Jonathan Zdziarski氏のサイト
(今回の成り行きを、本人が説明しています)
http://www.zdziarski.com/blog/?p=3441
※実際に発表された、Jonathan Zdziarski氏の研究結果は、こちらから。
https://pentest.com/ios_backdoors_attack_points_surveillance_mechanisms.pdf
彼は、AppleがNSAに対してバックドアを提供したとは考えておらず、非難する事もないが
ユーザーに対しては、Appleによる情報公開がなされるべきだと主張しています。
Appleからは、サポートからのお知らせとして、バックドアの存在は認めたものの
その役目は、トラブルシューティングをサポートするの診断機能であると説明したにとどまりました
※Apple Suport: iOS: About diagnostic capabilities
Jonathan Zdziarski氏は、Appleからのこの「回答」に対して、
彼が指摘した、ユーザーへの同意や通知についての説明がなかった事に
無責任ではないかと、更なる説明と対策を行うように求めています。
※こちらが、HOPE/X上の、Jonathan Zdziarski氏の意見
http://www.zdziarski.com/blog/?p=3466
ここまでが、現在までの成り行きです。
私が思うに、暫くの間、この話題は続くでしょう。
バックドアはふさがれ、さも問題解決したように見えはずです。
しかし、本質は、別の処にあると思います。
個人と企業、個人と国家、国家と企業、各々の関係はどうあるべきなのか?
そして、国を守る為に行われる情報収集の是非とは?
今回の一件は、そんなドロドロした事を垣間見せているような気がします。
結論は、簡単に出せるものではありません。絶対的な正解などないかもしれません。
それぞれの立場や考え方で、全く変わってしまうのですから。
ドラマの世界なら、敵と味方がはっきりしてるので、楽なんですけどね。
では、また。